2025年度最新版 Metabase完全ガイド: ノーコードで使える、ビジネスユーザーのためのBIツール

By Codatum Team
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Metabaseは2015年にローンチされたオープンソースベースのビジネスインテリジェンス(BI)ツールです。「5分でインストール可能、会社の全員が使える」や「技術的でない同僚が会社のデータベースから情報を自分で取得できるようにする」をコンセプトに開発され、ドラッグ&ドロップベースの直感的なインターフェースでデータ分析を行えるのが特徴です。

"Installs in 5 minutes, usable by everyone in your company"

"non-technical coworkers to be able to pull information out of the company’s databases on their own."

オープンソースベースですが、SaaSでの利用も可能です。一部のセキュリティ機能や埋め込み機能を除くと、多くの機能が自分でOSSをホスティングすれば無料で、またはSaaSでも非常に安価に利用することが可能です。

主要な特徴

  • Visual Query Builder

    :SQLの知識不要で、誰でも簡単にデータを探索・分析

  • 豊富なデータソース対応

    :BigQuery、Redshift、MySQL、PostgreSQL等の主要DBに接続

  • 簡単セットアップ

    :基本的なサービスは1コンテナを立ち上げるだけで利用可能 (一つのdocker containerを立ち上げるだけ)

  • オープンソース & SaaS

    :コア機能は無料、カスタマイズも可能

ターゲットユーザー

「技術的でない同僚が会社のデータベースから情報を自分で取得できるようにする」ことを目的とし、以下のような幅広いユーザーに利用されています:

  • ビジネスユーザー

    :マーケティング担当者、営業担当者、経営陣など

  • 技術者

    : メインターゲットではないですが、SQLエディタによる分析、チャートの作成等が可能です

  • 組織規模

    :スタートアップから大企業まで、データドリブンな意思決定を重視する全ての組織

機能と特徴の詳細解説

Visual Query Builder

metabase visual query builder

Metabaseの最大の特徴は、SQLを書かずにデータ分析を行えるVisual Query Builderです。

  • ドラッグ&ドロップベースの直感的インターフェース

    • 視覚的なクエリ構築

      :テーブルやカラムをGUI上で選択し、フィルターや集計を視覚的に設定

    • 段階的なクエリ構築

      :データの絞り込み、グループ化、集計を段階的に追加

    • リアルタイムプレビュー

      :クエリ構築中に結果をリアルタイムで確認

ダッシュボード機能

metabase dashboard

Metabaseのダッシュボード機能は基本的な機能に加えて、インタラクティブな分析体験を提供することに長けています。

  • 高度なフィルター連動機能

    • ダッシュボード内の全チャートで共通のパラメータ(日付範囲、地域、製品カテゴリ等)を設定し、連動

  • クリックによるクロスフィルタ連動

    • チャートの一部をクリックすると、上記のフィルタと連動し、チャートを横断して連動可能

これらの機能を直感的に設定していくことが可能です。

Alert機能

Metabaseのアラート機能は、設定の直感性が大きな特徴です。

  • チャートベースの直感的なアラート設定

    • ゴールライン設定

      :時系列チャートに目標値を設定し、それを上回る/下回った際に自動通知

    • プログレスバーアラート

      :単一数値が目標に達した際の通知

    • 結果ベースアラート

      :特定の条件(例:3つ星以下のレビュー)に該当するデータが見つかった際の通知

  • 多様な通知チャネル

    • 複数チャネル対応

      :メール、Slack、Webhook等への通知

    • ワンタイム通知

      :初回のみ通知するオプション

ただしアラート文言等の調整は限定的です。

データソース接続

DWHだけではなく、DatabaseやSaaSなど、多様なデータソースに対応しています。

  • 主要データベース・DWH対応

    • クラウドDWH

      :Amazon Redshift、Google BigQuery、Snowflake、Databricks

    • RDBMS

      :MySQL、PostgreSQL、SQL Server、Oracle

    • NoSQL

      :MongoDB、Elasticsearch

    • その他

      :ClickHouse、Apache Druid、CSV、Google Sheets等

2025年のリリース情報

Metabaseは2025年に入っても積極的な機能拡張を続けています。特にユーザビリティとパフォーマンスの向上、埋め込み分析の強化に注力しているようです。

Metabase 54(2025年4月リリース)

最新リリースでは、日常的に最も使用されるテーブル表示の使い勝手が大幅に改善されました。

詳細なリリースノート:

  • テーブル可視化の大幅改善

  • カスタム式エディタの強化

  • アラート機能の拡張

  • Google Drive連携

Metabase 53(2025年2月リリース)

埋め込み分析のアップデートやダッシュボード管理の効率化が主なリリースです。

詳細なリリースノート:

  • Embedded Analytics SDK for React

    : iframeに加えReactコンポーネントとしてのネイティブ埋め込みが可能に

  • ダッシュボード管理の最適化

  • 動的iframe機能

価格体系(2025年5月30日時点)

Metabaseはオープンソースから企業向けまで、幅広いニーズに対応した柔軟な価格体系を提供しています。セルフホスティングの無料版から、フルマネージドクラウドサービスまで、組織の規模や要件に応じて選択できます。

詳細な機能比較や最新の価格情報については、公式価格ページをご確認ください。

最新の価格情報:

プラン

価格

デプロイ

主要機能

対象

Open Source

無料

セルフホスト

基本BI機能、静的埋め込み(ロゴあり)

個人・小規模チーム

Starter

$85/月(5ユーザー含む)

クラウド

基本BI機能、公式サポート、自動更新

中小企業

Pro

$500/月(10ユーザー含む)

クラウド/セルフホスト

インタラクティブ埋め込み、SSO、React SDK

本格的なBI活用組織

Enterprise

カスタム見積

専用環境

専任サポート、カスタムデプロイ

大企業

料金の特徴としては、次のような点があります。

  • 使用量課金なし

    : ダッシュボード、クエリ、データソース接続数に制限なし

  • 追加ユーザー料金

    : Starter $5/月、Pro $10/月

  • 年額割引

    : 約10%の割引適用

  • 14日間無料トライアル

    : 全有料プランで利用可能

OSS+セルフホストが選べる点と、ユーザー単価が非常に安いのが、価格帯系の一つの特徴になります。

現状の課題・制限事項

Metabaseは素晴らしいツールですが、いくつかの制限事項や課題も存在します。特に、Visual Query Builder中心の設計思想に起因する制約や、大規模運用時のパフォーマンス課題について理解しておくことが重要です。

参考:




プロフェッショナル向けの限定的な体験

  • 分析の深さの制限

    : ビジネスユーザーはVisual Query Editorの制限から離れられず、基本的な分析を超えたデータ探索が困難

  • 複雑なSQLの作成

    : SQLエディタでのサポートが限られるため、複数段階のサブクエリ、Window関数、複雑なJOINなど高度な分析を行うようなSQLの構築に向かない

  • SQL Editor機能の制約

    : ネイティブSQLで作成した質問では、ドリルダウンやインタラクティブ機能が制限される

  • GUIベースワークフローが前提

    : SQLに慣れ親しんだデータエンジニアには直接SQLを書く方が効率的だが、Visual Query Builderでの操作が基本

  • 基本的な集計に最適化

    : シンプルな集計(COUNT、SUM、AVG等)や1段階程度のグループ化による分析に特化

パフォーマンス・スケーラビリティの課題

  • 大規模ユーザーベースでのパフォーマンス問題

    : 同時アクセスユーザーが多い場合、レスポンス速度の低下や応答不能になる場合がある

  • リアルタイムデータの読み込み速度

    : 大量データのリアルタイム表示において、読み込み時間が長くなる傾向

  • メモリ使用量の増大

    : 複雑なダッシュボードや大規模データセットの処理時にメモリ消費が増大

  • セルフホスティング時のスケーラビリティ確保の困難

    : 負荷分散、キャッシュ戦略、データベース最適化等、高度なインフラ知識が必要

これらの制限事項を理解した上で、組織の要件と照らし合わせてMetabaseの導入を検討することが重要です。多くの場合、基本的なBI用途では十分な機能を提供しますが、高度な分析要件がある場合は他のツールとの併用や代替ツールの検討も必要になります。

代替ツール・まとめ

Metabaseに制限を感じた場合や、異なるニーズに対応するため、様々な代替ツールが存在します。組織の規模、技術レベル、予算、用途に応じて最適な選択肢を検討することが重要です。

Codatum

SQLベースのコード中心型データ分析プラットフォーム。ノートブック形式でSQL開発から可視化まで一貫して行え、AIアシスタント機能でSQL作成を支援する。リアルタイム協業と詳細な権限管理が特徴。

Apache Superset

Airbnb発の高機能BIプラットフォーム。豊富な可視化オプションと強力なSQL Labを提供するが、セットアップが複雑で技術的専門知識が必要。

Redash

SQLクエリベースのダッシュボード・レポートツール。軽量で多様なデータソースに対応するが、高度な分析機能や可視化オプションは限定的。

Tableau

業界標準の高機能BIツール。最高レベルの可視化機能を持つが、高価格($70/月〜)で学習コストも高い。

Microsoft Power BI

Microsoft製品との高い親和性を持つBIツール。比較的安価でOffice連携が強力だが、非Microsoft環境では制約がある。

セットアップ・運用

MetabaseはOSSのセルフホストとSaaS型の二つに対応しており、組織の要件に応じて選択できます。SaaS型は、管理画面上からサインアップすればすぐに使い始められます。

セルフホストする場合にも、非常にシンプルなDocker構成のため、数分でローカル環境の評価をすることが可能です。ただし、本番運用となると、インフラ管理とスケーラビリティ確保には専門知識が必要です。

具体的な手順や設定詳細については、公式ドキュメントをご確認ください。

インストールガイド:

アップグレード手順:

データベース接続:

トラブルシューティング:


まとめ

Metabaseは優れたアクセシビリティを実現したBIツールです。Visual Query Builderによる直感的な操作性と強力なダッシュボード機能により、多くの組織でデータドリブンな意思決定を支援しています。

一方で、データから多様なインサイトを得たり、高度なデータドリブン組織を作るためには制約となる場合があるでしょう。SQLをベースとしたプロフェッショナルの活動を支援し、モダンな協業機能を両立したい場合は、Codatumのような次世代データ分析プラットフォームも選択肢として検討する価値があります。適切なツール選択により、組織のデータ活用レベルを大幅に向上させることが可能です。

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