
Redashとは
Redashは、データ分析とビジュアライゼーションを簡単に実現できるオープンソースのBIツールです。2013年に最初のリリースが行われ、その後Databricksに買収された経緯があります。一時期開発が停滞していたものの、2024年ごろから再び開発が活発化し、2025年1月には最新のv25がリリースされました。
Redashの特徴は、豊富なデータソースへの対応と、GUIや独自のDSLよりも標準的なSQLを中心にデータを準備する部分にあります。エンジニアにもビジネスユーザーにも使いやすいクエリベースのBIツールとして、多くの企業で採用されています。
ターゲットユーザー
Redashはスキルレベルの異なる2つのユーザー層に対応しています:
エンジニア・データアナリスト向け
SQLに精通したデータエンジニアやアナリストは、Redashの柔軟なクエリエディタを使って複雑なデータ分析を効率的に行えます。SQLを記述して正確に必要なデータを抽出し、それを視覚化することができます。
ビジネスユーザー向け
SQLの知識がなくても、チーム内のエンジニアが作成したクエリやダッシュボードを閲覧し、フィルタを適用することで、必要なデータを確認できます。共有されたダッシュボードを通じて、データドリブンな意思決定をサポートします。
機能と特徴の詳細解説
データソースとの連携
Redashは幅広いデータソースと接続できる点が強みです:
https://redash.io/help/data-sources/querying/supported-data-sources/
リレーショナルデータベース
MySQL、PostgreSQL、SQL Server、Oracle
NoSQLデータベース
MongoDB、Elasticsearch
クラウドデータウェアハウス
Databricks, Amazon Redshift、Google BigQuery、Snowflake
分析プラットフォーム
Apache Druid、Clickhouse
その他
CSV、Google Sheets、API接続など
1つのRedashインスタンスで複数のデータソースに接続し、それらのデータを横断的に分析・可視化することができます。
クエリエディタ

Redashの中核機能であるクエリエディタには以下の特徴があります:
SQLエディタ
シンタックスハイライト、基本的な自動補完機能を備えています
クエリスニペット
よく使うSQLの断片を保存して再利用できます
パラメータ
動的なパラメータを設定してユーザーがフィルタリングできます
マルチビュー
1つのクエリ結果から複数のビジュアライゼーションを作成できます
スケジュール実行
定期的にクエリを実行して結果を更新できます
API連携
クエリ結果をAPI経由で取得し、外部システムと連携できます
ダッシュボードと可視化

Redashのダッシュボード機能では、複数のクエリ結果を1つの画面にまとめて表示できます:
シンプルなグリッドUI
ドラッグ&ドロップでウィジェットを配置できます
多彩な可視化オプション
棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフ、テーブル、ファネルなど様々な形式で表示可能です
パラメータ連動機能
ダッシュボード全体で共通のフィルタを設定できます
自動更新
設定した間隔でダッシュボードを自動更新できます
共有機能
URLや埋め込みコードでダッシュボードを簡単に共有できます
アラート機能
Redashでは、クエリ結果に基づいたアラートを設定することができます:
条件設定
クエリ結果が特定の条件を満たしたときにアラートを発生させます
通知方法
メール、Slack、Webhookなど複数の通知方法に対応しています
通知スケジュール
アラートの確認頻度を設定できます
クエリ結果への再クエリ
Redashの特徴的で、非常に便利な機能です。クエリの実行結果をSQLiteにキャッシュし、それを、さらにクエリしなおすことが出来る機能です。重いデータ処理と軽量なクエリによる分析処理を分離することなどが可能です。また、複数のデータソースの結果が同じSQLiteに入るため、JOINして分析することもできる様になります。
その他の機能
アクセス制御
ユーザーごとにクエリやダッシュボードへのアクセス権限を設定できます
グループ管理
部署やチームごとにユーザーグループを作成して権限を管理できます
APIアクセス
RESTful APIを通じてRedashの機能を外部から利用できます
埋め込み
ダッシュボードを外部サイトに埋め込むことができます
v25のリリース
2025年1月1日に最新のv25がリリースされました。バージョン番号が大幅に上がっているように見えますが、これは番号付けルールが年度になるよう変更されただけのようです。
v10系からの主な変更点:
AsanaへのAlert転送先が追加され、タスク管理との連携が強化
Dashboardのフォーク機能の追加
RisingWave (ストリーミングデータ処理向けデータベース)のサポート
正規表現によるバリデーションが可能な「Text Pattern」パラメータの追加
ARM64アーキテクチャ(Apple M1/M2チップなど)への対応
チャートのカラースキーム選択オプションが追加
注意:
v25ですが、手元で利用していると挙動がまだ不安定です。v25の新機能が必要でなければ、少し古いですが、v8系かv10系を使うのが無難かもしれません。(現状まだlatest tagはv8についています)
クエリ結果が安定しない例:
事例
Attlassian, Sentry, mozilla, Cloudflare, netlifyなど名だたるITジャイアント企業が利用しています。
現状の課題
RedashはOSSということもありUpdate頻度が安定していません。また、v25のリリースの項にも書いた様に、現状ではプロダクト自体の安定性も保証しづらい点が課題です。
また、結果データを内部に取り込むため、大きなテーブルを扱うと、実行時間やメモリへの懸念がある点も課題の一つとして挙げられます。
しかしOSSなので、誰でもコミュニティにコミットして修正をすることができるのは、大きな利点といえます。
代替ツールとの比較
Redashの課題を補う意味で、以下のような“クエリ中心のBIツール”も検討対象になります。
オープンソースのデータ可視化/ノートブックツール。コミュニティ主導で活発に開発。
Apache Software Foundationがホストする大規模プロジェクトで、Redash同様にSQLを中心としたダッシュボード機能を提供。
有償だが、BI機能やコラボレーション機能が充実しているSaaS型 BIサービス。
Notebook形式でのSQL管理や構築に強みを持つオールインワンSaaS型 BIサービス。
よくある質問
Redashは無料で使えますか?
はい、Redashはオープンソースソフトウェアで、自社サーバーにインストールして無料で使用できます。ただし、インフラコストやメンテナンスコストはかかります。
Redashのホスティングサービスはありますか?
公式のホスティングサービスは2020年にDatabricksによる買収後に終了しました。現在は自己ホスティングが基本ですが、いくつかのサードパーティプロバイダーがホスティングサービスを提供しています。
Redashのセキュリティ機能は十分ですか?
基本的なユーザー認証とアクセス制御機能はありますが、エンタープライズレベルのセキュリティ機能(詳細な監査ログ、高度なSSO連携など)は限定的です。
Redashの開発は今後も続きますか?
Databricksによる買収後に一度停滞しましたが、最近は再び開発が活発化しています。ただし、長期的な開発コミットメントについては不確実性があります。
Redashと商用BIツールの最大の違いは何ですか?
SQLベースのシンプルさとオープンソースである柔軟性がRedashの強みです。一方、商用ツールはエンタープライズ機能、サポート体制、高度な分析機能で優れています。
Redashで対応しているデータソースは?
主要なRDBMS(MySQL、PostgreSQL、SQLiteなど)をはじめ、BigQuery、Redshift、MongoDB、Elasticsearchなど、多様なデータソースに対応しています。
Redashのクエリ実行パフォーマンスは?
小規模データセット(数万行程度)までは問題なく動作しますが、大規模なデータセットでは処理時間が長くなる場合があります。
Redashをクラウドで利用するには?
AWS、GCP、Azureなどのクラウドプラットフォーム上にDockerを使って構築できます。詳細な手順は公式ドキュメントを参照してください。
Redashの日本語サポートはありますか?
UIの一部は日本語化されていますが、完全ではありません。ドキュメントは基本的に英語のみです。コミュニティによる日本語情報も限られています。
Redashでよくある問題は?
クエリの実行時間が長くなる
大量のデータを処理する際のメモリ不足
アップデート時の互換性問題
認証連携の制限
まとめ
Redashは、SQLを活用したデータ分析とビジュアライゼーションを手軽に実現できるオープンソースBIツールです。シンプルで直感的なインターフェース、豊富なデータソース対応、柔軟なダッシュボード機能が魅力です。 しかし、開発の安定性や大規模データの処理、エンタープライズ機能の不足など、いくつかの課題も存在します。
これらの課題を解決するためには、Codatumのような代替ツールへの移行も検討する価値があるでしょう。 特にデータドリブンな意思決定を重視する組織では、長期的な安定性とサポート体制が整ったBIツールの選定が重要です。Redashの良さを継承しつつ、課題を克服したCodatumは、その有力な選択肢となります。