「SQLベースのデータ分析」はデータ駆動型のビジネスが主流となった現代、データエンジニアやアナリストにとって欠かせない存在です。また、障害対応時やアプリケーション構築時に利用する大量のSQLの構築・管理・共有に悩むエンジニア等にとっては、「SQLコードの管理・共有」も重要な問題です。
本記事では、そのような「SQLベースの分析」や「SQLコードの管理・共有」プロダクトとして、長年にわたり支持されてきたRedashと、私たちが提供している最新の機能を備えた新鋭ツールCodatumを比較し、それぞれの特徴や適用シーンについて詳しく探っていきます。
Redashとは
Redashは、オープンソースのデータ可視化・ダッシュボードツールとして多くの技術者やデータアナリストに長年愛されてきた、SQLベースのデータ分析/BIプロダクトです。他の多くのBIツールと異なり、GUIよりもSQLを使ったダッシュボード作成に長けています。主たる目的はチャーティング・ダッシュボード・データ分析にありますが、SQLを簡単に実行、保存、共有できるため、SQLコードの管理・共有プロダクトとしてもよく利用できます。
2020年にDatabricksによって買収されましたが、現在もコミュニティによって維持され、低コストで柔軟なデータ分析ツールとして活用されています。
Redashの最大の強みは、そのシンプルさと多様なデータソース対応にあります。
コスト効率:オープンソースで無料で利用可能です。
Self-hosting:自社サーバーでの運用が可能です。
多様なデータソース対応:Redshift、Snowflake、PostgreSQL、MySQLなど、多くのデータベースに接続可能です。
アラート機能:データの変化をリアルタイムで検知することができます。
しかし、Redashにはいくつかの課題も存在します。
エディタ機能の制限:高度なサジェストやコード分割、参照機能がありません。
共有・権限管理の不足:外部ゲストへの共有機能や、データセットやダッシュボードへの詳細な権限管理機能がありません。
更新の遅延:最新の更新が5年前で止まっており、メンテナンス面での不安があります。
機能比較表
両ツールの主要な機能を詳しく比較してみます。
機能 | Codatum | Redash |
SQL管理/SQLエディタ | 高度な機能あり | 基本的な機能 |
データセットの検索 | 👌 | × |
SQLの分割・参照 | 👌 | × |
フォルダ管理 | 👌 | × |
ダッシュボード | 充実 | シンプル |
Explorer機能 | 👌 | × |
Notebook (Adhocな分析レポート作成) | 👌 | × |
共有機能 | 多様な共有方法 | 限定的な共有方法 |
外部ゲスト共有 | 👌 | × |
グローバルパブリッシュ | 👌 | 👌 |
White Label Embed | 👌 | × |
対応データソース | × BigQueryのみ | |
権限管理 | 👌 詳細に設定可能 | × 限定的 |
カタログ機能 | 👌 | × |
アラート機能 | × | 👌 |
AIアシスタント | 👌 | × |
提供方法 | SaaS | OSS, Self-Hosting |
SQL管理/エディタ
Redashでは、最低限の機能を持ったシンプルなSQLエディタを提供しています。
Codatumでは、カラムも含めた網羅的なテーブル情報から高速にデータセットを串刺し検索する機能や、複雑なSQLを分割し、他のSQLで参照する機能によって、効率的なSQL構築をすることをサポートします。また、フォルダやTeamspaceといった概念により大量のSQLを、管理することができます。
Notebook機能
CodatumではNotebook形式でSQLも含めた分析の過程をまとめることができるため、Adhocな分析や、振り返り、共有がしやすくなっています。
Redashにその機能はありません。
共有と権限管理
Redashではインターネットユーザー全体への共有機能が提供されていますが、リソースごとの権限管理は限定的です。
Codatumでは、外部ゲストへの安全な共有や、リソースへの詳細な権限設定が可能です。
AIアシスタント
CodatumのAIアシスタントを使えば、SQLに詳しくないユーザーでも複雑なSQLを生成して実行することが可能です。またそこから学ぶことができます。SQLに精通したユーザーでも、複雑な処理をAIに頼んで生産性を高めることができます。
Redashにはその機能はありません。
どのような時にどちらを選択すべきか
Redashが適している場合
コストを最小限に抑えたい: 無料で利用可能。
Self-Hostingが重要: 自社サーバーでの運用が可能。
多様なデータソースを扱いたい: 複数のデータベースを統合して分析。
Codatumが適している場合
アドホックな分析やレポートが必要: Notebook機能による迅速なクエリ作成とデータ探索。
大量のSQLコードの管理が必要: チームスペース、フォルダなどを利用して、クエリやNotebookを管理可能。
高い生産性: モダンなUIと直感的な操作で分析効率を向上。
ステークホルダーへの共有が必要: 組織外へのゲスト共有や、コネクションのグループごとの詳細な権限管理。
AIを活用した分析の強化をしたい: AIアシスタントによる強力なSQL生成、修正。
最新の機能と継続的なサポートが必要: 活発な更新と、SaaS型での提供により最新機能を常に利用可能。
まとめ
データ分析ツールの選択は、組織のニーズや目指す方向性によって大きく異なります。Redashはシンプルでコストを抑えたソリューションとして有用ですが、最新の機能や詳細な管理が必要な場合には限界があります。一方、CodatumはモダンなUIと高度な機能を備え、効率的かつ効果的なデータ分析を実現します。また、自社ネットワーク管理に入れやすいSelf-Hostingでの提供がセキュリティ要件に合っているか、インフラ管理等を自社でやる必要がなく、常に最新の機能やセキュリティアップデートが利用できるSaaS型の提供方針が合っているか、も考慮する必要があります。
データから新たな価値を創出し、ビジネスの競争力を高めたいと考えているのであれば、Codatumの導入を検討してみてはいかがでしょうか。最新の技術とユーザーエクスペリエンスで、データ分析の可能性を大きく広げることができます。